けど、ゲームによって押したときの感覚は違いますよね。
岩田 当時のビデオゲームというのは
黒い画面で遊ぶことが多かったですよね。
宮本 目が疲れにくいから、それを守りたかったんです。
でも、そろそろ皆が飽きてきて、
変化のある原色の背景で遊ぶのもいいんじゃないかと、
そんな時代になってきていたんですね。
そこで、ファミコンの能力を最大限活かして
大きなキャラクターが陸海空を駆け抜けるというテーマで
『スーパーマリオブラザーズ』をつくることになったんです。
岩田 圧倒的にドットが足りないんですよね。
宮本 足りないんです。
すぐ8×8ドットになっちゃうんです。
それで、鼻を描いてヒゲを描いたら
口かヒゲかわからないので、そこでドットは稼げると。
岩田 ヒゲを描けば、口は描かなくていいんですよね。
宮本 描かなくていい、これは大きいです。
あごは1ドットあればいいですし。
それに目は、縦に2ドットで描くとかわいいかなと(笑)。
で、髪の毛を描ききれないので、帽子をかぶせたら
帽子は2ドットで抑えられる。
岩田 帽子も、ドット数を抑えるためにかぶせたんですか。
宮本 それに、髪の毛にすると
アニメーションにするのが難しいですしね。
しかも、帽子をかぶせれば、
すぐ下に目があっても大丈夫ですし。
岩田 それで顔ができましたと。
宮本 でも、残りのドット数で
カラダを描こうとすると限界があるんです。
しかも、ちゃんと走らせたいので
アニメーションにする必要があったんですけど、
当時は3パターンしかできなくて。
そこで、走るとき、腕を振りますけど、
動きをわかりやすくするために
腕と体の色も違っていたほうがいいと思ったんです。
そんな服はあるのかというと・・・。
岩田 オーバーオールですね(笑)。
宮本 そう。オーバーオールしかないんですよね。
そこで、オーバーオールを着せることにしたんですけど、
幸いなことに、ゲームの舞台は建築現場でしたから・・・。
もうこれは大工さんと呼ぶ以外にないでしょう(笑)。
岩田 なんという必然!(笑)
宮本 で、跳んだときに動きがよくわかるように、
手に白い手袋をはめることにして。
岩田 全部、機能から必然としてデザインされていたんですね。
岩田 ゲームオーバーしたあとで 「100円を入れて、もう1回」というのは
どういうときに生まれるのか。
宮本 はい。要は「悔しい」からなんです。